カテゴリ:キュタヒヤ紀行( 3 )

最終日はストゥク・ウスタの工房見学。
キュタヒヤ中心地の、いたって普通の住宅街にありました。

こちら、工房のろくろ職人さん。
ストゥク・ウスタは絵付け職人なので、成形は彼に任せているようです。
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小物も大物もあっという間にひいてくれました。
ちなみにこちらではろくろは成型も削りも反時計回り、ひき方にも違いがあって見てて面白かったです。


絵付けをする女性。
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今茶色に見える絵の具は、焼成後濃いトルコブルーになるそうです。


お筆を拝見・・・。
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筆先がざくっと切られていて、中央からちょんまげ出てます。太さいろいろ。
うーん、これ使いやすいのかなあ?


有田赤絵の松尾さん、ちょんまげ筆で絵付け体験!
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「この筆、描きにくさぁ〜(描きにくい)」
と言いながらも、そこはさすがの絵付け職人、
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ささっと山水画のできあがり。弘法筆を選ばず。


工房2階部分にあった穴。
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中は円筒形で、壁棚に焼き物が並べられてます。・・・倉庫?

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大人ひとり入るのがいっぱいいっぱい。


実はこれ、窯なんです。

この円筒形の部屋の底には、天井穴よりひとまわり小さい穴が空いていて、その下に燃焼室があります。
焼成時には天井穴に蓋をして、下の燃焼室の横穴から薪をくべて焼成。
熱と煙は穴を通って作品部屋の天井にぶつかり、下って壁底横にある12個の小穴から排出されるそうです。
いわば倒炎式の窯ですね。

分かりやすくイラスト描いてみました。
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燃焼室の温度は1200℃から1300℃くらいまで上がって、
作品部屋は900℃から1000℃になるそうですよ。

でも街なかの普通の建物の中に薪窯があるのはどういうことなんでしょう?
日本的な木造建築では火事が心配ですね。石造り建築ならではの構造でしょうか。

しかし現在ではこの窯はあまり利用してないようです。
別に大きな電気窯がありました、あしからず。
でもやっぱり薪窯のほうが作品の質感がいいそうですよ。


イスタンブルに帰る前に、ストゥク・ウスタのギャラリーに寄ってきました。
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こちらストゥク・ウスタの代名詞、モザイク絵付け。
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一般的なキュタヒヤ陶器には見られない画法です。
トルコには至る所にモザイク壁画がありますから、そこからヒントを得たのでしょうね。

もうひとつ
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絵付けは根気のいる作業です。指と目が疲れそう・・・。
どれくらいの時間がかかるんでしょうか、聞いときゃよかった。

普段はキュタヒヤ陶器を買わない僕も、今回はいっぱい買ってきましたよ。
(もちろん高めのものは手が出せませんでしたが・・・・)


最後に記念写真。
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ストゥク・ウスタ、とてもとても温かいひとでした。
見ず知らずの他人の僕を招待してくれたこと、すごく感謝しています。

年が明けて暇ができたら、またキュタヒヤに彼に会いに行こうかな。
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2日目は朝からシンポジウム。

会場にはたくさんの人が集まり、キュタヒヤ陶芸並びストゥク・ウスタについて
政界、財界、芸術界(?)からの方々のお話がありました。

午後からは、わが有田からお越しの松尾さんのスピーチもあり、
有田焼について、自身の仕事について、仕事への思いについて話されました。

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その後、トプカプ宮殿学芸員のÖmürさん(写真上 テーブル右端)による
有田焼の歴史、現状、文化についての紹介。
自身の有田滞在の経験を元に、とても分かりやすく面白い話をしてくれました。
まったくもって、僕よりも有田のことをきちんとアピールできるトルコ人です。


夕方からは、近くの美術館(なぜか軍の演習場の中・・・)に行きました。

遥か昔、紀元前ギリシャ・ローマ時代の陶器
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ここからは現代キュタヒヤ陶芸の絵皿紹介
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帆船の絵付け。こちらではよく見かけるメジャーなデザインです。


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まさにイスラム的な文様。細かいなあ。


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こちらはこれでもかと文様で埋め尽くすのが好きですね。
日本的なあっさりしたデザインはあまり見受けられません。


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僕が気に入ったのはこれ。
ごちゃごちゃしててもホッとする絵柄です。青がとっても奇麗ですね。


次回はストゥク・ウスタの工房に伺います。
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トルコの陶芸産地であるキュタヒヤに、Sıtkı Olçar(ストゥク オルチャル)という陶芸家がいます。
イズニック、キュタヒヤタイルの伝統を継承しつつも、常に新しいデザイン、手法を生み出し
キュタヒヤ陶芸に大きな変革を起こした陶芸家です。

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周りの人からは親しみを込めて"ストゥク・ウスタ"と呼ばれる彼、
昨年、ユネスコの重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝ですね)に認定されたそうです。

2、3週間ほど前、こちらでコーディネイターや通訳の仕事をやっている加瀬由美子さんから電話があり、
ストゥク・ウスタの展示会とシンポジウムが催されること、日本からも陶芸家が来るということで、
あなたもこちらで陶芸やってるのだからと招待されて、23日から2泊3日でキュタヒアに行ってきました。



日本から招待された陶芸家は、佐賀県有田町、松尾錦工房主宰の松尾嘉之、亮子夫妻。
嘉之さんは有田出身、亮子さんは伊万里出身(なんと実家のご近所さん)
イスタンブルから、有田に1年間住んでいたことのあるトプカプ宮殿学芸員のÖmür Tufanさん、
奥さんは武雄市出身で以前、有田の九州陶磁文化館で学芸員をやってらっしゃった江利子さん。
そして伊万里出身の僕と、こんなところで佐賀県人会^^

他、イスタンブルでタイルの絵付けをやってらっしゃる鬼頭立子さんと窪田有美子さんも参加。



初日はキュタヒヤヒルトンホテルで大勢の招待客とともに歓迎パーティーがありました。
会場にはたくさんのストゥク・ウスタの作品。
繊細な絵付けに大胆なデザイン、見るだけでも僕には勉強になることが多くありました。

歓迎会の合間、松尾さんからストゥク・ウスタへ有田赤絵のお皿が贈られると、
ストゥク・ウスタからは松尾さんへ馬のオブジェがプレゼント。

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                         カメラマン:嘉納愛夏
なんともうらやましい。。

そうそう、今回のシンポジウムの模様はカメラマン嘉納愛夏さんの取材・配信で、共同通信を通して
佐賀新聞他、各地方新聞に掲載されたようです。佐賀の方、気づきましたか?
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