2010年 09月 26日
キュタヒヤ3日目
キュタヒヤ中心地の、いたって普通の住宅街にありました。
こちら、工房のろくろ職人さん。
ストゥク・ウスタは絵付け職人なので、成形は彼に任せているようです。
小物も大物もあっという間にひいてくれました。
ちなみにこちらではろくろは成型も削りも反時計回り、ひき方にも違いがあって見てて面白かったです。
絵付けをする女性。
今茶色に見える絵の具は、焼成後濃いトルコブルーになるそうです。
お筆を拝見・・・。
筆先がざくっと切られていて、中央からちょんまげ出てます。太さいろいろ。
うーん、これ使いやすいのかなあ?
有田赤絵の松尾さん、ちょんまげ筆で絵付け体験!
「この筆、描きにくさぁ〜(描きにくい)」
と言いながらも、そこはさすがの絵付け職人、
ささっと山水画のできあがり。弘法筆を選ばず。
工房2階部分にあった穴。
中は円筒形で、壁棚に焼き物が並べられてます。・・・倉庫?
大人ひとり入るのがいっぱいいっぱい。
実はこれ、窯なんです。
この円筒形の部屋の底には、天井穴よりひとまわり小さい穴が空いていて、その下に燃焼室があります。
焼成時には天井穴に蓋をして、下の燃焼室の横穴から薪をくべて焼成。
熱と煙は穴を通って作品部屋の天井にぶつかり、下って壁底横にある12個の小穴から排出されるそうです。
いわば倒炎式の窯ですね。
分かりやすくイラスト描いてみました。
燃焼室の温度は1200℃から1300℃くらいまで上がって、
作品部屋は900℃から1000℃になるそうですよ。
でも街なかの普通の建物の中に薪窯があるのはどういうことなんでしょう?
日本的な木造建築では火事が心配ですね。石造り建築ならではの構造でしょうか。
しかし現在ではこの窯はあまり利用してないようです。
別に大きな電気窯がありました、あしからず。
でもやっぱり薪窯のほうが作品の質感がいいそうですよ。
イスタンブルに帰る前に、ストゥク・ウスタのギャラリーに寄ってきました。
こちらストゥク・ウスタの代名詞、モザイク絵付け。
一般的なキュタヒヤ陶器には見られない画法です。
トルコには至る所にモザイク壁画がありますから、そこからヒントを得たのでしょうね。
もうひとつ
絵付けは根気のいる作業です。指と目が疲れそう・・・。
どれくらいの時間がかかるんでしょうか、聞いときゃよかった。
普段はキュタヒヤ陶器を買わない僕も、今回はいっぱい買ってきましたよ。
(もちろん高めのものは手が出せませんでしたが・・・・)
最後に記念写真。
ストゥク・ウスタ、とてもとても温かいひとでした。
見ず知らずの他人の僕を招待してくれたこと、すごく感謝しています。
年が明けて暇ができたら、またキュタヒヤに彼に会いに行こうかな。
彼の作品は勿論、彼を慕って集まった人々にも、ストゥク・ウスタの優しく温かい人柄が映し出されているようでしたね。素敵なシンポジウムでした。
ところで、松尾さんの絵付け現場に立ち会えなくで残念。
線描き用の筆ではなく、なんとベタ塗彩色筆で絵を描いてしまったのですね。すごい!
本当、弘法筆を選ばずです、びっくり!
チョンマゲ筆は、ムラなく均一に色付けする時、濃淡を出す時に便利で、とても扱いやすいんですよ。
鉄平さんも是非使ってみて下さい。
どうりでおかしいと思ってました^^
僕は塗りは濃み(ダミ)筆っていう太い筆でやってます(というか絵付け自体やってませんけど)
チニで使うような、密度の濃い絵の具はこのちょんまげ筆が塗りやすいのかもしれませんね、
機会があったら試してみます。
まあとにかく松尾さんはあっぱれでした。
この窯の構造だと窯焚きの時、絵付け室が地獄のサウナ室になっちゃいそうだけど大丈夫なのかな?
しかし、トルコで同郷の人と会うっていうのも不思議な感覚だよね☆
窯上の部屋は素焼き置き場になってました。絵付け室は隣り。
それでもサウナ地獄になりそうですが。。
それよりも、いくら窯の天井に蓋をしてると言っても
煙は小さな隙間からでも噴出するんじゃないかなあと思っているのです。どうなんだろう。
それにしても、本当に素敵な体験ですね。
まあ陶芸なんてやってる人って大体がまめじゃないのかなあ。
今回はいろんなつながりでキュタヒヤに行けたんですけど、本当に勉強になりました。
今後の仕事につなげていければ、と思います。
葬儀がきょうだとか、とても残念で、それと共に明るく独創的な作品づくりをされた生涯と誰からも尊敬されるお人柄を偲びます。
ストゥク・ウスタの死去、本当に残念です。
すい臓ガンを患わせておられたみたいで、元々はまるまると太った体躯の方なのに、
キュタヒヤシンポジウムの時点でかなり痩せておられました。
もう先は長くないだろうというのは予期していましたが、お亡くなりになったという
知らせを受けるのは悲しいものです。
キュタヒヤに咲いた大輪、その種がこれからどんどん咲き誇ることを願います。